DIRECTOR'S
COMMENT

映画を作るなら、タップダンスをテーマにと思い続けてきました。子供の頃に心動かされた、チャップリンの影響もあるでしょう。20代になってブロードウェイで、サンディ・ダンカン扮するピーター・パンが、インディアンと踊るシーンを観た時、涙が止まらなくなりました。彼女の踊りに高鳴った鼓動を、観客に伝えられるような映画を作りたいと願ってきました。
あれから40年がたち、今回、監督としてこの映画に携わった時間は、本当に幸せでした。全てのカットが、自分のイメージを超えていく。撮影中から密かに“これは面白くならないわけがない”と感じていました(笑)。確かに簡単なベースは僕が作りましたが、それぞれの仕事ぶりに、一番驚いたのも僕じゃないか? と思っています。完成作には、スタッフ、キャスト一人ひとりの才能が反映されていて、一本の映画にはいかに多くの人の力が必要なのかと実感しました。監督をやらなければ、わからなかったことです。
エンターテインメントならではの夢の世界へ、みんなを連れていけるように、と目指した、クライマックスのラスト・ショウ。『感動のダンス』の撮影では、タップとはこんなに豊かな表現のできるエンターテインメントなんだ! と改めて感動しました。地面を踏み鳴らし、音が重なり、リズムを作る。誰にでもできて、誰の中にもある音楽。タップの、普遍的な感情表現に、惹かれていたのかもしれません。自分らしく生きていくためには、人としてどうあるべきか? と考える、パワーの必要な時代だからこそ。

監督/水谷 豊

TOP